バッドキッズ

村山由佳「BAD KIDS」~ひたむきでドロドロな青春小説

自分にも高校生の時代が確かにあったはずなのに、何故か高校生というのは綺麗でひたむきで、といった印象を持ってしまいます。

高校野球の清らかな印象がそうさせているのでしょうか。

現実の高校生はもっとドロドロとしたものを持っていて、親には絶対言えないような秘密を隠し持ったりしています。

今回は、村山由佳さんの小説「BAD KIDS」を紹介します。

●「BAD KIDS」あらすじ

バッドキッズ

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ラグビー部である幼なじみの同性に恋をしてしまい、悩み苦しむ隆之。

そんな隆之を被写体として写真に撮り続ける、都。

彼女は20も年上の写真家との関係に悩み、そして隆之と接触を持ちます。

似たもの同士のふたりが寄り添い合い、傷つきながらもそれぞれの決断を下します。

隆之の恋慕は、都の恋は?

●ドロドロの感覚とキラキラの正義感

この本を読んだのは私が高校生の時ですが、性についての表現にドキドキした事をよく覚えています。

ドキドキ

恥ずかしながら、村山由佳さんの小説にはそういった性についてのきわどい表現を楽しみに読んでいた所もあったものです…。

「BAD KIDS」の主人公である隆之と都は、そこらにいる高校生と同様に、性や将来について悩み、もがいています。

その感覚は読んだ当時、高校生だった私には痛いほどよく理解できたもので、今でも読み返すとあの時の感覚が蘇るような気がします。

多分、当時の村山由佳さんの小説が、高校生を中心に圧倒的な支持を得たのは、そういった等身大の人間の悩みがうそ偽りなく、飾り気なく描かれていたからだと思います。

17歳くらいって、大人の気分でいても実際の大人から子ども扱いをされる事に苛立って、でも自分では決められない事があって、毎日が苦しくて…。

そういったドロドロとした感覚を持てあますような気分、そういったものを確かに表現した作品が、「BAD KIDS」であると、私は思います。

高校生って潔癖な部分と、大人よりも大人びた部分が同居しているという、奇妙な時期でもありましたよね。

そういった、自身の恥ずかしいような部分を思い起こさせる小説にもなっています。

隆之と都は、傷つきながらも逃げずに自分で決断を下します。

これもまた、この時期だからこそできる、痛みさえ感じるような決意です。

そういった感情、大人になった私ならできるかな?と、何だか自分の事に置き換えて考えたくなるような小説です。

●魂の双子達

「BAD KIDS」の主人公、隆之と都は、まるでひとつの魂を分け合ったように、似たもの同士の二人です。

ですが決してお互いに依存はせず、自分の事は自分で決着を付けようとします。

そういった姿を見ると、大人である自分は何をしているのか、といったシャンと背を伸ばしたくなるような気持ちにさせられる物語です。

高校生やそれに近い年代にもおすすめしたいですし、私のような、遠い昔に高校生だった人にも読んでほしい、ひりひりした痛みを感じるような小説です。

ぜひ一度読んでみて下さい。きっと村山由佳作品にのめり込むこと請け合いの小説です。

以上、村山由佳「BAD KIDS」を紹介しました。