野生の風

村山由佳「野生の風」~サバンナの熱い風に吹かれる恋愛小説

村山由佳さんの作品が大好きです。このサイトでは中でもおすすめの10作品について、私amiのレビューを掲載しています。ぜひ新しい村山由佳作品に出会っていただければと思います!

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第1回目の今日は、村山由佳さんの小説「野生の風」を紹介します。染織家である主人公・飛鳥と、野生動物の「いのち」を撮る写真家、一馬。運命的な出会いで愛し合い、お互いに離れられない程かけがえのない二人に、ある事実がつきつけられ…。

サバンナの熱い風に舞い上がる、二人の愛の行方は?

●「野生の風」あらすじ

野生の風

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染織りの世界に魅せられ、色の世界に飛び込んだ染織家、多岐川明日香。

野生動物の「いのち」を撮る写真家、藤代一馬。

自分の世界のためならある意味、傲慢とも言える態度を取る二人ですが、根っこはただ「この景色を表現したい」と感じる、とてもよく似た二人。

ベルリンの壁崩壊の夜に出会った二人は、紆余曲折を経てアフリカで再会を果たします。

熱い風に巻かれるように燃え上がる二人の愛は、このまま続くかと思われますが…。

●アフリカの風、風を抱く鳥

私はアフリカへ行ったことはありません。

ですが、村山由佳さんの「野生の風」を読むと、アフリカの熱風、土の匂い、自然の音が聞こえてくるような感覚におそわれます。

「野生の風」の解説を書いた伊集院静さんが、

「文章に香りがある」

と書いていますが、その言葉がよく分かるような気がします。

村山由佳さんの小説はどれも、文章に匂いと音があり、それが読んでいる方に「登場人物って、きっと生きているんだ」といったリアリティを感じさせてくれます。

飛鳥は自由気ままに生きていながらも、最後の最後では決して自分のわがままを通そうとはしませんでした。

その時の空気の冷たさ、猫のぬくもり、にあ、あ、とかすれた声で鳴く
猫の鳴き声。

読んでいる方は、まるで物陰から飛鳥を見ているような感覚に陥ってしまい、涙が止まらなくなってしまいます。

最近の村山由佳さんの小説では、こういった感じの恋愛小説を書く事がなくなってしまったのがとても残念です。

「野生の風」は1995年に発表された作品ですが、今読んでみても全く古くさい感じはしません。

「恋愛もの」といったジャンル自体が飽きられている感じもある昨今ですが、この本を読むと「こんな恋愛がしてみたい!」と思うのではないでしょうか。

決してハッピーエンドではないのですが、村山由佳さんの小説が初めて、という人にはぜひ読んでもらいたい小説だと思っています。

本

●ふたつの世界が楽しめる作品

以上、村山由佳さんの小説「野生の風」を紹介しました。

染織りの世界、写真の世界、どちらもなじみのないものですが、その世界にしか生きられない人の生き様と情熱的な恋愛。ふたつの世界が楽しめる作品になっています。

恋愛小説が読みたい、と思っている人や、初めて村山由佳さんの小説を手に取る人におすすめしたい作品です。ぜひ一度読んでみて下さいね。